「宇宙の温度はどれくらい?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
実は、宇宙の温度は場所や時代によって大きく違うのです。
例えば…
- 太陽の中心 は 約1,500万℃
- 現在の宇宙空間 は 約-270℃(2.7K)

では、宇宙の温度はどのように変化してきたのでしょうか?宇宙の温度の歴史を詳しく見ていきましょう。
1. 宇宙の温度の歴史
宇宙の温度は、誕生から現在まで大きく変化してきました。
ここでは、ビッグバンから現在までの宇宙の温度の移り変わりを見ていきます。
① ビッグバン直後(約138億年前)
「宇宙誕生時は、超高温だった!」
- ビッグバン直後の温度は、10³²℃(1の後に32個のゼロがつく温度)と推定されています。
- この時期、宇宙は極めて小さく、全ての物質がプラズマ状態でした。
- 時間が経つにつれて、宇宙が膨張することで温度が急速に低下しました。
② 宇宙誕生から38万年後(宇宙背景放射の発生)
「宇宙が透明になり、光が放たれた!」
- 宇宙が約3000℃まで冷え、電子と原子核が結びついて原子が誕生しました。
- この時に放たれた光が「宇宙背景放射」として現在も観測されています。
- 宇宙背景放射は、宇宙の温度が約-270℃(2.7K)であることを示しています。
③ 現在の宇宙(約-270℃)
「宇宙は今も冷え続けている!」
- 現在の宇宙の平均温度は、約-270℃(2.7K)です。
- これは、宇宙の膨張に伴い温度が下がり続けた結果です。
- ただし、星や銀河の内部、ブラックホールの周辺など、一部の場所では非常に高温の領域も存在します。
宇宙の温度は、ビッグバンから現在まで約10³²℃から-270℃まで劇的に下がってきました。

では、宇宙の中で最も熱い場所と冷たい場所はどこなのでしょうか?
2. 宇宙の中で最も熱い場所と冷たい場所
宇宙の平均温度は約-270℃ですが、場所によっては極端な高温や低温が存在します。
ここでは、宇宙の中で最も熱い場所と冷たい場所を紹介します。
① 宇宙で最も熱い場所
「超新星爆発やブラックホールの周辺は、数億℃に達する!」
- 超新星爆発 … 星が寿命を迎えて爆発する際、中心温度は数億℃にも達します。
- ブラックホールの降着円盤 … ブラックホールの周囲にあるガスが回転しながら落ち込む領域は、100億℃以上になることもあります。
- 宇宙誕生直後 … ビッグバン直後の温度は10³²℃と、これまでに観測されたどの環境よりも高温でした。
② 宇宙で最も冷たい場所
「絶対零度に近い極寒の宇宙空間!」
- ボーマン宇宙雲 … 宇宙で最も冷たいとされる星雲で、温度は約-272℃(1K)。
- 宇宙背景放射 … 宇宙全体の平均温度は約-270℃(2.7K)で、広大な宇宙空間は極寒の環境になっています。
- 実験室で作られた極低温 … 地球上の実験では、人工的に宇宙よりも低温の環境(絶対零度に限りなく近い状態)が作られることがあります。
宇宙には、超高温の領域もあれば、ほぼ絶対零度に近い場所も存在しています。

では、宇宙の温度はこの先どのように変化していくのでしょうか?
3. 宇宙の温度はこれからどうなる?
宇宙の温度は時間とともに変化してきましたが、未来の宇宙はどのような温度になるのでしょうか?
科学者たちは、宇宙の未来についていくつかのシナリオを考えています。
① 宇宙の膨張と温度の低下
「宇宙が膨張し続ける限り、温度は下がり続ける!」
- 現在、宇宙は加速的に膨張しており、このまま進めば宇宙の温度はさらに下がる。
- 遠い未来には、宇宙全体の温度がほぼ絶対零度(-273.15℃)に近づくと考えられている。
② 「ビッグフリーズ」…宇宙が冷え切る未来?
「宇宙の温度が下がり続けると、すべての活動が止まる?」
- 宇宙が無限に膨張を続けると、すべての星が燃え尽き、ブラックホールも蒸発する。
- 最終的には、エネルギーの供給がなくなり、宇宙は極寒の「死の世界」となる可能性がある。
③ 他のシナリオはあるのか?
「宇宙の未来は、まだ決まっていない!」
- もしダークエネルギーの性質が変われば、宇宙の運命も変わるかもしれない。
- ビッグクランチ(宇宙が収縮し、再び高温になる)や、ビッグリップ(宇宙がバラバラになる)といった可能性も考えられている。
未来の宇宙の温度については、まだ確定した答えはありませんが、今の理論では宇宙はさらに冷えていくと考えられています。

では、ここまでの話をまとめてみましょう。
まとめ:宇宙の温度は時間とともに変わり続ける!
ここまで、宇宙の温度の変化について見てきました。
最後に、重要なポイントを振り返ってみましょう。
① 宇宙の温度は時代によって大きく変化する
- ビッグバン直後は 10³²℃ という超高温だった。
- 宇宙が膨張するにつれて温度が下がり、約38万年後に 約3000℃ まで冷えた。
- 現在の宇宙の平均温度は -270℃(2.7K)。
② 宇宙には極端な温度の場所がある
- 最も熱い場所 … 超新星爆発(数億℃)、ブラックホールの降着円盤(100億℃以上)
- 最も冷たい場所 … ボーマン宇宙雲(-272℃)、宇宙背景放射(-270℃)
③ 宇宙の未来は、さらなる冷却が予測される
- 宇宙の膨張が続けば、最終的に 絶対零度に近づく。
- 「ビッグフリーズ」により、すべての星が燃え尽き、宇宙が静寂に包まれる可能性がある。
④ 宇宙の温度の変化を理解することの意味
- 宇宙の温度の歴史を知ることで、宇宙の成り立ちや未来を理解できる。
- 今後の天文学研究により、宇宙の温度の変化に関する新たな発見が期待される。
宇宙の温度は、ビッグバンの超高温から始まり、今ではほぼ絶対零度に近い状態になっています。

この先、宇宙はさらに冷え続けるのか、それとも何か別の未来が待っているのか。
宇宙の謎を解き明かすため、これからの研究に期待しましょう。