「宇宙って、どこまで続いてるの?」
ふと夜空を見上げながら、そんなことを考えたことはありませんか?
地球のまわりには月や星があり、星の向こうには銀河、銀河の向こうには…?
じゃあ、その“いちばん外側”には、なにがあるの?
でも――ここでちょっとびっくりするかもしれません。
実は、「宇宙の外に何があるか」って、今の科学でもはっきりとは分かっていないんです。

えっ!?科学でなんでも分かると思ってたのに!宇宙の外のことも、すでに分かってると思ってたよ!

それがとても大きなナゾなんですよ。科学は“観測できること”しか確かめられませんから、“見えない世界”にはまだまだ届いていないのです。
この記事では、そんな「宇宙の外ってなにがあるの?」というナゾを、科学で分かっていること・分かっていないことに分けて、分かりやすく調べていきます。
今の科学者たちがどう考えているのか、どんな理論があるのか、そして本当に“果て”はあるのか――。
さあ、一緒に宇宙のはしっこ探検に出発しましょう!
「宇宙の外」は見えない。だから、正確には「分からない」
まず結論から言ってしまうと、宇宙の“外”に何があるのかは、今の科学では観測も証明もできていません。
「なんだ、答えがないのか…」とガッカリしないでくださいね。
むしろ、答えがないからこそ、いろんな仮説が生まれているのです。

そんなのアリ!?“分からないけど、考えてみる”ってこと?なんか不思議な感じ!

科学の世界では、“観測できないもの”をむやみに決めつけません。そのかわり、いろんな“可能性”を理論として考えておくのです。
つまり、「宇宙の外にはこれがある!」というよりは、
「こういう可能性があるかもしれない」と、いくつかの有力な考え方が出されている状態なんです。
このあと、それぞれの仮説を、なるべく分かりやすく紹介していきます。
「外側に何もない」「外側にも宇宙が続いている」「別の宇宙がある」など、どれもワクワクする話ばかりですよ!
宇宙はどこまでも続いている?──境界がない宇宙の考え方
まず紹介するのは、「宇宙はどこまでも続いている」という考え方です。
「宇宙の外に何があるの?」と聞かれたとき、そもそも“外”なんてないという考え方があります。
これは「宇宙には果てがない」「境界がない」という意味で、実は多くの科学者がこの可能性を支持しています。

えっ?“果てがない”?じゃあ宇宙って、どこまで行っても終わりがないってこと!?

そうなんです。宇宙は、地球のように「どこかで終わる球体」ではなく、どこまで行っても“終わりがない”構造をしているかもしれないのですよ。
たとえば、地球は丸いけれど、歩き続けても“端っこ”にぶつかることはありません。ずーっと歩いていると、いつのまにか元の場所に戻ってきますよね。
宇宙もそれと同じように、「有限だけど境界がない」という形をしている可能性があります。
このような宇宙の構造は、専門的には「閉じた宇宙(クローズド・ユニバース)」や「3次元のトーラス構造」と呼ばれます。

えっ、トーラス?なにそれ?

トーラスというのは、ドーナツのような形のことです。
宇宙がその表面のように曲がっていて、どこにも端がないけれど、ぐるっと回れば同じ場所に戻ってくるような構造をしている可能性があるのです。
もちろん、これはまだ仮説のひとつで、宇宙全体の形を観測で完全に確認するのはとても難しいです。
でも、「宇宙には端っこがある」という直感とはちがって、「宇宙はどこまでも広がっていて、終わりがない」という考え方は、実はとても有力なものなんです。
そして、このあと紹介する仮説も、そんな“果てのない宇宙”のイメージとつながっています。
宇宙はもっと広がってる!?──“見えないだけ”の可能性
2つ目の考え方は、「宇宙は、私たちに見えないだけで、もっともっと広がっている」という説です。
現在、私たちが観測できる宇宙の広さは、半径およそ465億光年(直径で約930億光年)といわれています。
でも、それはあくまで「光が地球に届いた範囲」の話。実際の宇宙は、もっとずっと広がっている可能性があるんです。

えっ!?それってどういうこと?見えてないだけで、もっと星とか銀河があるの?

その通りです。地球に届く光には限りがあるので、「見える宇宙=宇宙のすべて」とは限らないのです。
◆ “観測できる宇宙”と“本当の宇宙”はちがう!
- 宇宙は約138億年前に始まったと考えられています(ビッグバン理論)。
- 光の速さには限界があるので、遠くから届く光には「時間」がかかります。
- そのため、138億年かけて届いた光の範囲しか、私たちは観測できません。
- つまり、「観測できる宇宙」と「本当の宇宙の広さ」は、イコールではないのです。
この“観測できる範囲”のことを、科学では「観測可能な宇宙(observable universe)」と呼びます。
でも、ビッグバンのあと、宇宙はすごいスピードで広がってきたと考えられているので、
私たちが見えているより、もっと広い宇宙が存在していてもおかしくないのです。

なるほど~!じゃあ、“宇宙の外”じゃなくて、“見えてないだけの宇宙”ってこともあるのか!

はい。実はこの考え方は、宇宙の研究をしている人たちのあいだでも、かなり現実的なものとして扱われているんですよ。
◆ この説のポイント
- 宇宙の“はしっこ”があるとは限らない(ただ見えてないだけ)
- 光が届く範囲=観測できる範囲というだけで、宇宙そのものの広さではない
- 実際には、私たちが知らない“宇宙の続き”があるかもしれない
「見えない=存在しない」ではない、ということですね。
次は、もっとユニークな仮説、「宇宙は“泡”のように無数にある」というマルチバースの考え方をご紹介します。
宇宙は1つだけじゃない!?──マルチバースのふしぎな世界
次にご紹介するのは、ちょっとびっくりするような考え方。
「この宇宙のほかにも、別の宇宙がたくさんあるかもしれない」という仮説です。
このような世界を、科学では「マルチバース(Multiverse)」と呼びます。

ええっ!?宇宙がいくつも!?なんかアニメの設定みたいだね!

たしかにちょっと空想っぽく聞こえるかもしれませんが、これは現代の物理学の中でもちゃんと考えられている説のひとつなんですよ。
◆ マルチバースってどんな世界?
マルチバースには、いろんなパターンがあります。代表的なものを3つ紹介します。
- バブル宇宙(泡の宇宙)
宇宙は“泡”のように、ポコポコたくさん生まれているかもしれない、という考え方です。
私たちがいる宇宙も、その泡のひとつにすぎないかも…? - 分岐する宇宙(パラレルワールド)
何かの選択をするたびに、別の宇宙が生まれているかもしれない、という考え方。
「もしあのとき○○してたら…」という世界が、実際に存在するかも! - 次元がちがう宇宙
私たちの“3次元”とはちがう、“別の次元”の宇宙が存在していて、
私たちには見ることも感じることもできない…という可能性も考えられています。
◆ 本当にそんなのあるの?
マルチバースは、あくまで「理論上の可能性」です。
今のところ、「はい、ここに別の宇宙がありますよ!」とハッキリ示せたことはありません。
でも、宇宙がどうやって始まったかを研究していくと、
「この宇宙の外側に別の宇宙が生まれていてもおかしくない」という結論にたどり着く場合があるんです。

なんか…すごすぎて頭が追いつかないよ!

れでいいんですよ。科学って、「ぜんぶ分かる」よりも、「ぜんぶ知りたくなる」ことが大切なんです。
マルチバースの考え方は、宇宙のことをもっと深く理解するためのひとつのヒントとして、大切に研究されています。
このあと、ちょっと視点を変えて、「“宇宙の外”という言い方そのものが、まちがっているかも?」というお話に進んでみましょう。
“外”なんて存在しない!?──空間そのものを考えてみよう
ここまで「宇宙の外にはなにがあるの?」というテーマで、いろんな仮説を見てきました。
でも、そもそも――
「“宇宙の外”という考え方自体が、まちがってるかもしれない」という意見もあるんです。

えっ!?今まで“外には何があるの?”って聞いてたのに、それ自体が間違いなの!?

はい、実はこの問い方には、ちょっとした“落とし穴”があるんです。
◆ 「外」とか「内」って、何に対して?
たとえば、地球には「外」と「中」があります。コップや箱もそうですね。
でも、それは“何かの中にある”から、外側や内側という言い方ができるのです。
でも宇宙は――
- ほかの“入れ物”に入っているわけではない
- “宇宙の外側”を入れる場所がない
- そもそも「空間」や「時間」も宇宙の一部
というわけで、宇宙には“外側”という概念そのものがないのでは?という考え方が生まれました。

うーん…つまり、「外ってどこ?」って考えてること自体が変なのか~

そうですね。例えるなら、「紙の表面だけで生きている点」が、「紙の外ってどこ?」と聞いているようなものかもしれません。
◆ 宇宙は「空間」そのもの
今の科学では、宇宙の始まりはビッグバンと呼ばれる現象から始まったと考えられています。
そのとき、“空間”や“時間”そのものも生まれたとされているため、
「空間の外側に何があるのか?」という問いは、今の物理ではまだ正しく定義できないのです。
だからといって、「意味のない質問」というわけではありません。
むしろ、「宇宙のはじまりって何だったのか?」を考えるうえで、とても大切なヒントになります。
このあと最後に、「今わかっていること」「わかっていないこと」をまとめて、科学の“今”を見てみましょう。
まとめ:宇宙の外はナゾだらけ。でも、それでいい。
「宇宙の外には何があるの?」
この問いに対して、今の科学が出している答えは、「まだ分からない」です。
でも、これまで見てきたように、分からないからこそ、いろいろな考え方や理論が生まれています。
◆ 今の科学で分かっていること・分かっていないこと
- ✔ 宇宙は約138億年前に始まった
- ✔ 観測できる範囲は半径約465億光年
- ✔ でもそれより外のことは、観測では分からない
- ✔ 分からないことを説明するための、いろんな仮説がある
◆ こんな仮説があったね
- 宇宙はどこまでも続いているかもしれない
- 観測できないだけで、もっと広い宇宙があるかもしれない
- 宇宙は1つじゃなくて、たくさん存在しているかもしれない(マルチバース)
- そもそも“外”という考え方が、通用しないかもしれない
どれもまだ「答え」ではないけれど、想像することで、科学の世界が広がっていくのです。

なんだか、分からないことが多すぎて、不安になるかと思ったけど…ちょっとワクワクしたかも!

そう、それこそが科学の本質です。
「分からない」ということは、「まだまだ面白いことが待っている」ということなんですよ。
これからも宇宙の研究は進んでいきます。
100年後には、今は“ナゾ”だったことが、「あたりまえの知識」になっているかもしれません。
だからこそ――
「知らないことを楽しむ気持ち」を忘れずに、これからもたくさんの“なぜ?”を大切にしてくださいね。