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チーターは時速100km以上!でもすぐバテる?持久力がない理由と速さの代償

いきもののふしぎ
ソラ
ソラ

ねえ博士、チーターって世界一速いって聞いたけど、どのくらい速いの?しかも、ずーっと走れるわけじゃないってほんと?

フクロウ博士
フクロウ博士

いいところに気がつきましたね。
実はチーター、地上で最も速く走れる動物ですが——
その全力疾走は、なんとたったの20〜30秒しか続かないんです。

ソラ
ソラ

ええっ!? あんなに速いのに、それしか走れないの?

フクロウ博士
フクロウ博士

そうなんです。
チーターは、進化の中で“とにかく速く走る力”を手に入れるかわりに、
“長く走る力”を手放した動物なんですよ。

つまり、「スピード特化型」ってわけです。
この記事では、その“速さのヒミツ”“速さの代償”について、くわしく見ていきましょう。

チーターのスピードはどれくらい? スポーツカーと勝負できる!?

チーターは、地上で最も速く走れる動物です。
その最高速度は、なんと 時速95〜114km にもなることが知られています。これは、条件が良ければの話ですが、車に負けないほどのスピードです。

ソラ
ソラ

えっ、それってもう車と同じくらいじゃないの!?

フクロウ博士
フクロウ博士

はい、スポーツカーに匹敵する速さです。しかも、ゼロから時速100kmに達するまでにかかる時間は、たったの3秒ほど
まさに“地上のスプリンター”ですね。

この加速力は、ほかのどんな動物もかないません。
けれど、チーターのすごさには「ある条件」がつきものです。
それは、この速さを維持できるのが、ほんのわずかな時間しかないということ。

ソラ
ソラ

へえ〜…じゃあ、どれくらい走れるの?

フクロウ博士
フクロウ博士

全力で走れるのは、20〜30秒ほど
距離にすると、だいたい400〜500メートルが限界です。だから、長く走り続けるのはとても苦手なんですよ。

このように、チーターの走りは「短距離に特化したスピード型」
トップスピードに乗った瞬間は無敵ですが、あっという間に息が上がり、体温も急上昇してしまいます。

ソラ
ソラ

まさに100メートル走の選手みたいな感じだね!

フクロウ博士
フクロウ博士

そのとおりです。すぐに決着をつけないといけない、一発勝負のスプリント型なんですよ。

どんなに速くても、20〜30秒しか走れないチーター。

実はその理由は、体のつくりにあります。

速さの代償とは? チーターの体に隠されたひみつ

チーターは「速く走ること」に特化して進化してきたため、「長く走ること」はあまり得意ではないのです。

ソラ
ソラ

へえ、体のつくりが関係してるんだ? どんなふうに違うの?

フクロウ博士
フクロウ博士

では、チーターの“スピード特化ボディ”について見てみましょう。

しなやかな背骨でスピードアップ

チーターの背骨はバネのようにしなる構造になっており、一歩ごとの歩幅(ストライド)がとても大きくなります。
このおかげでスピードが出ますが、長時間この動きを続けると体に大きな負担がかかってしまいます。

筋肉も「ダッシュ型」

チーターの筋肉には、瞬間的に力を出す「速筋(そっきん)」が多く、長く動き続ける「遅筋(ちきん)」は少なめです。
だから、短距離は得意でも、長距離には向いていないのです。

ソラ
ソラ

たしかに、筋肉の種類って聞いたことあるかも!

心臓と肺も「瞬発型」

全力で走ると、酸素やエネルギーを一気に使い、筋肉には「乳酸(にゅうさん)」という疲労物質がたまりやすくなります。
さらに体温も急激に上がるため、長時間のダッシュは体にとって非常にリスクが高いのです。

スプリント専用の「爪」と「しっぽ」

チーターの爪は半分しか引っ込めることができず、スパイクのように地面をつかみます。
また、長いしっぽはカーブのときにバランスを取る「舵(かじ)」のような役割を持っています。
どちらも短時間の加速と方向転換に特化した装備です。

ソラ
ソラ

なるほど……“短時間で仕留める”ための体なんだね。

フクロウ博士
フクロウ博士

そのとおりです。速さを極めたかわりに、長く走る力を手放した…これがチーターの進化のトレードオフ(速さの代償)なんです。

「進化のトレードオフ」とは、生き物がある能力を伸ばす代わりに、別の能力をあきらめるような進化のことです。
たとえば、チーターは速く走る体を手に入れたかわりに、持久力を失いました。
他の例では、カメのように硬い甲羅を持つ代わりに、動きがゆっくりになった動物もいます。
このように、すべてを手に入れることはできないため、「何を選び、何を捨てるか」が生き残りの戦略になるんです。

では、そんなチーターは野生でどうやって獲物をしとめているのでしょう?

どうやって狩るの? チーターの野生での作戦

全力で走れるのはわずか20〜30秒。その短い時間で獲物をしとめなければならない—— そんな厳しい条件の中、チーターはどんなふうに狩りをしているのでしょうか?

ソラ
ソラ

そんなにすぐバテちゃうのに、ちゃんと獲物をつかまえられるの?

フクロウ博士
フクロウ博士

良いところに気がつきましたね。だからこそ、チーターは“知恵”と“タイミング”で勝負するんです。

できるだけ近づいてからダッシュ!

チーターは、むやみに追いかけることはしません。 草むらや地形をうまく利用しながら、そっと獲物に近づきます。 そして「これならいける!」という距離まで来たとき、一気に全力疾走を始めます。

狩りの成功率は意外と高い?

チーターの狩りの成功率は、およそ40〜50%といわれています。 これはライオンやハイエナよりも高め。 ただし失敗すれば体力を消耗して、すぐに再チャレンジすることはできません。

ソラ
ソラ

へえ! 半分くらいは成功するんだね。でも失敗したら大変そう…。

一度走ったら、しばらく動けない

全力で走ると、体には大きな負担がかかります。 狩りに失敗したチーターは、回復するまで30分以上も休まなければならないこともあります。

せっかく獲っても、奪われることも…

チーターは体がスリムでケンカには向いていません。 そのため、ライオンやハイエナに獲物を奪われてしまうこともあります。 せっかく命がけでしとめたのに、食べられないなんてこともあるのです。

ソラ
ソラ

うわぁ…チーターって、速いけど大変な生き方なんだね…

 

フクロウ博士
フクロウ博士

ええ。でもだからこそ、あの“究極のスピード”が必要だったんです。命をかけて、わずか数十秒にすべてをかける。それがチーターの戦い方なのです。

まとめ:チーターの“速さの代償”とは?

チーターは「地上最速」の名にふさわしいスピードを持っていますが、実はその速さには大きな代償があることがわかりました。

速いけれど、長くは走れない

全身が「短距離ダッシュ」に特化しているため、全力で走れるのはたったの20〜30秒。 長時間の追跡や持久戦には向いていません。

狩りは“1回勝負”の真剣勝負

全力疾走のあとは長い休憩が必要で、失敗すればすぐには再挑戦できません。 さらに、せっかく獲物をしとめても、他の動物に横取りされることもあります。

それでもチーターは生きている

進化のなかで「速さ」にすべてをかけたチーター。 その姿は、美しく、そして少し切ないものでもあります。

ソラ
ソラ

チーターって、ただ速いだけじゃなかったんだね。いろんな苦労があるんだ…。

フクロウ博士
フクロウ博士

その通りです。速さの裏には、生きるための“選択”があるのです。だからこそ、私たちが見るあの走りには、感動があるのでしょうね。

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